13歳で大怪我をして、長らく入院したあの時の経験が
大きな転機となったことには間違いないと思います。
まったく、思うようにならないこの身体を前に、
ただ立ち尽くす他無い経験は、なかなかのものなのです。
この身体をつくったのは自分なのではなく、自然です。
身体は自然。自然は人間の意思や意図を完全に超えていますから、
身体は人知を、遥かに超えているのです。
この不如意を痛感したとき、
初めて、この身体が「私であり私でない」という不思議の構造に気づきます。
このおそるべき当たり前のことを、
しかと思い出したならば、
それは、それまでの世界より広いところへと、
出ていけるキッカケとなります。
自身のことであれ、社会の構造であれ、なんであれ、
《私》たちは、よ〜く観てみれば当たり前のことを忘れてしまい、
よ〜く観てみれば、あり得ないことを
当たり前と思い込んで、苦しんでいます。
まったくもって狂気。コント。かなしみ。
誰かの言うことを鵜呑みにするのではなく、
よ〜く観察してみることの大切さを思います。